三島芳治『児玉まりあ文学集成』を読む

俺はこれまで、なにか本を読みたいと思ったならばまずは書店へと足を運びお目当ての書籍を手に取り、また何か目を引くタイトルや装丁のものがあればついでに購入してみたり、といった手段をとっていた。俺の頭の中には、書籍というものはみな紙にインクで文字が印刷されたものであるという観念があり、電子書籍という読書の形態にあまりピンとくるものがなかったため、これまであまり積極的に利用しようとは思ってこなかった。が、そんな俺も気づけばAmazonkindleという素晴らしきサービスを活用するようになっていた。しかも今ではkindle unlimitedの会員である。紙の本の収納スペースの問題に頭を悩ませた結果、俺は電子書籍に手を伸ばしてみたわけであるが、ワンクリックで購入が完了してダウンロードが終わればすぐ読める、というのは思いのほか便利だった。まあ小説とかは今でもあんまり電子データで読む気にならないが、漫画や軽めのエッセイなんかを読みたくなったときは、これからも積極的に活用していくことだろうと思う。

で、今回その素晴らしきサービスを活用して購入したのが『児玉まりあ文学集成』である。kindle unlimitedの会員である俺は1巻を無料で読めたので、暇な時間になんとなくダウンロードして読んでみたのだが、読んでみて気に入ったので2巻と3巻を今度はきちんと金を払い購入した。2巻と3巻も期待を裏切らない感じで大変よろしかった。

文学部(文芸部じゃないよ)部長である文学少女「児玉まりあ」さんと、彼女の相手役である「笛田君」の間で繰り広げられる、不思議で知的で甘酸っぱい様々なやりとり。それを読んでいると、なんか俺のこのぶよぶよにふやけてくたびれている脳みそにも、知性のきらめきが振りかけられてくるような気がした。「俺って死ぬまでに、あとどれぐらいの書物を読み、どれぐらいの言葉に触れられるのだろう。俺はどこまで行けるのだろう」なんてふと思ったりもした。まあふと思ったりするだけで、実生活のレベルではあまり影響が感じられないところを悲しむべきなのかもしれないが。俺のことはともかくとして、いろいろと勉強にもなるし、1話ごとに紹介されている参考文献の方にも興味がわいてくる。もちろん、話の構成や主役の二人の関係性の描写も丁寧で、漫画としてまっとうに面白い。3巻まで読んで、この先いったいどういった展開を経て終わりへと向かっていくのか、今から気になるところである。